アルティメットNo.1はどうなっているのか
アルティメットNo.2とNo.3の販売を開始した頃、No.1というのはあるのか? どんなものなのか? いつ頃販売するのかというお問い合わせをたくさん頂きました。あのNo.1のプランはどうなっているのか。
当初、No.1はNo.2よりも大型で、刃の厚みも十分ある、ナタとしても使用可能な、ヒッティングを想定して計画されいました。具体的な刃厚は5.5〜6.5mm刃長は200mm近くの大物になるはずでした。その分、価格も上がりますが、もともとアルティメットシリーズは大変特殊なモデルです。特殊で高額な商品の取り扱いが多い弊社ではあまり苦にはなりません。ではなぜそのまま計画はストップしているのか。
刃長が200mmとなると、フルタング仕様のアルティメットの場合、鋼材として加工するのは全長350mm、厚み6.5〜7mmのものになります。これは加工時点では、刃の厚みは仕上り寸法よりも1〜0.5mm程厚めからスタートする必要があるからです。アルティメットNo.2と比べて長さで130mm、厚みで3mm近い違い、このサイズが大きなネックとなりました。
こちらはおなじみのNo.2とNo.3。使いやすいサイズではあるが・・
写真提供 スタジオ ワイズ
熱処理を施すと、殆どの鋼は歪んでしまいます。これはその差こそあれ、あらゆる鋼にいえることです。熱処理をするために温度を上げていくとき、また下げていくときに、全ての部分が均一に、同じように温度が変化せず、部分によって温度差が出るため、その違いによって熱膨張率の違いから、結果として歪みとなって現れます。熱は薄い部分ほど早くよく上がり、そして早くよく下がります。厚い部分はその逆です。この差が歪みになります。ですから熱処理のまずいナイフは見ただけで判る場合があります。勘違いの場合が無いとも限りませんので、もちろん口に出してはいいませんが、温度が急に上がりすぎた部分や下がりすぎた部分はある変色を起こし、分子構造が崩れ見かけ以外は刃物でなくなっている場合があります。
ATS-34やATS-55は比較的その歪み率が少なく、そのため多くのマスプロやカスタムメイドに使用されています。アルティメットの場合、ZDP-189とATS-55で挟み込んだ三層鋼を使用しています。熱膨張率の違う二種類の鋼を使用した三層鋼は熱処理に高い技術が要求され、処理後の歪み取りも高硬度のために通常の方法ではうまく行きません。現在は八田工業がその技術的なハードルを見事にクリアーし、安定した熱処理とサブゼロ処理を施しています。そのため、発売されているアルティメットNo.2やNo.3は歪み無く仕上られ、出荷されています。
しかしNo.2やNo.3に比べて長さで130mm以上、厚みで2.5〜3.0mm以上の差が有るNo.1の場合は、私たち開発チームでもいまだそのデータが確立できず、それが一つの原因となり、プランが停止しているのです。これを解決するには時間がかかりそうです。別の鋼でスタートする案もありましたが、やはりZDP189の切れ味は他にはない素晴らしさがあります。一昔前だと、夢の合金鋼だったに違いありません。期限を明言することは出来ませんが、いつかはアルティメットNo.1を完成させ、販売できるように夢は捨てずにおります。期待してください。ご意見やご質問はこちらより、お寄せ下さい。
アルティメット・トップ≫ キタノ・コンプシャープナー≫ アルティメットの購入ページ≫
アルティメットが刃欠けしないワケ≫ なぜATS34でなくてATS55?その違いは?≫
キタノフォルダー・ロックステッド≫ トップへ▲
|