CUSTOM KNIVES スタンレー和田氏の、棚から一掴み カスタム・ナイフを初めて日本に紹介し、クーパー、ランドール、ラブレスなど、数多くのカスタムナイフを60年代より輸入、販売していた和田 栄氏。彼の所有していた数多くのナイフが保管されている棚から一掴み、販売が可能な状態のモデルを厳選して紹介していくページです。彼がコレクションした数多くのナイフはそのまま残されていますが、このままでは埋もれてしまい、忘れられてしまいます。その前に、同じ時代を生き、その価値や味わいを理解していただける方に所有していただきたいという思いで販売することとなりました。 このページの全ての商品はアウトレット品扱いとなり、無保証で、返品、交換が出来ません。商品によっては彼の所有を示すサインがシースなどに記されている場合があります。また、刃材や柄材など、素材の情報に関して、モデルによっては当時の様子より想像にて記載をせざるを得ない事情があり、記載の内容は必ずしも正確ではない可能性があり、確定的ではありません。また、商品の状態は劣化の部分、程度などを出来るだけ詳細に記載するよう努めますが、見落としが出る可能性もあるかと思います。 これらの事情を十分にご理解いただいた上で、各モデルが一点物のアウトレット商品販売ページとしてご利用下さい。不明な点、気になる部分がある場合はそれらを事前にご確認の上で注文に進まれるようお願いします。<お問い合わせに関しては、ページの最下部にて案内しています> ご注文の時点でこれらをご理解いただいたものと判断させていただきます。 また各商品に関して、当方の記載の間違いにお気づきになられた場合なども是非お知らせ下さい。近い将来、本来の価値、存在意義を理解されないままで埋もれてしまう前に、是非手に入れてください。 北野 作 マキリV10 優れたナイフとはどういうものだろうと考えた時、そこに求められる要素をいくつかイメージしてみます。切れ味や強度などの実用性、デザインの豊かさや見た目のよさ、それらがもたらしてくれる所有することの満足感。もっと単純に、手に持った時の感覚、直感で感じる熱量、作者が語りかけてくるかのようなしっかりとした個性。これら全てがバランスよく高次元で満たされているのが北野作のカスタムナイフだと言えます。 このモデルのブレードはV金10号をダマスカス状に積層構造として採用しており、元々優れた刃物鋼材であるV10をその素材面だけでなく、積層構造にすることで構造的にもタフさを求めています。そして切れ味の要である「北野エッジ」が採用されています。 北野エッジとは、フラット面とコンベックス気味にカーブした面の左右非対称の切刃で構成された北野氏オリジナルの切刃で、強靭な耐久性と鋭い切れ味を併せ持っており、例えば乾燥した竹を荒々しくヒットした後でも紙がサラサラと切れます。 この切り刃は何故こんなにタフでしかも鋭く長く切れるのか・・・北野エッジについて余談となりますが・・15年ほど前に弊社が作ったアルティメット・ハンター(完売・終了)というモデルにもこの切刃を採用することとし、北野氏監修のもとでGサカイのスタッフ達とこの北野エッジについて徹底的に研究していました。その間いろいろなフィールドテストを重ねましたが、北野エッジのタフさと切れ味の鋭さには驚きの連続でした。まるでマジックを見せられているかの様で、今までの概念が覆させられたような気になったものです。閑話休題・・ ハンドル材はアイアンウッド、ヒルトやバット(柄尻)にはニッケルシルバーを使用しており、しっかりと重みを感じる逞しい握り具合です。シースは分厚いレザーを何層にも重ねた構造で、通常のハトメではなくワンオフ・メイドのコ型金具で締め上げられています。ナイフを入れるとコツンと感覚があってとまる仕組みはこのモデルに相応しい高級感です。このモデルは驚異的にタフなブレードと鋭い切れ味、そして細部まで考えられた隙のない高い完成度が実感できる、至高のナイフです。
分厚いレザーを6層に重ねて仕上げられたシースは圧巻です。シースをまとめる金具にはブレードの硬度「HRC64」とはっきりと記載されています。ブレードには錆などのネガティブ要素はありませんが、ヒルトと鞘の接触部分には薄く緑青が出ていたので当方で除去、磨きをかけました。しかしナイフを鞘から出したときにシースの内側にの取り除けない緑片が付いて出てくることが有ります。また、シースの留め金具の窪みにも取りきれない緑片があります。刃の切れ味は恐ろしいままです。
池田 正行作 小柄小刀 四寸 池田氏は和田榮氏とは北辰一刀流の居合い道場で最初に出会いました。刃物の町堺の打ち刃物鍛治であった池田氏は卍正行の名で知られる刀匠であり、後に伝統工芸士となります。多くのメーカーが氏の打った刃材を使い、カスタムナイフとして販売をしていました。抜群の信頼性とすぐれた切れ味、そして美しい仕事でした。当方でも氏の刃材を使用した挟み込み鋼やダマスカス鋼を使用したカスタムナイフを販売したことがあり、他にも当方のブランド、WILDWESTの刻印をした釼型の鉈「シカリ」も長年に渡り販売していました。当時ビーパルの広告にシカリを載せたところ、大変好評で常時売り切れていました。 魂のこもった刃物は魔物除けとして大きな力を持つ。嫁に出る娘に懐剣を持たせる風習があった時代から言われていることです。今で言われるパワースポット、以前はパワーストーンを身につけることと同様なのかもしれません。堺の刀匠、正行が火造りし、魂を込めて打った小刀は大変貴重なパワーアイテムです。
佐治武士 作 釼ナタ 刃物の街、福井県武生のナイフメーカーである佐治氏は、ナイフだけではなく包丁や打ち刃物全般、包丁なども手がける登録伝統工芸士です。この作品は狩猟を趣味とする和田榮氏が個人用に政策を依頼した釼ナタで、全体のシルエットが「く」の字に曲がっている、いわゆるブーメラン型になっています。これは藪コキなどの時、動く枝などを払う場合に有効な設計です。刃元厚が6ミリをこえる重量感タップリのハードギアですが、木製鞘には桜の皮が巻かれるなど、贅沢な使用となっています。また、釼(ケン)型は野良での仕事全般に頼もしく、長く付き合える一本です。 刃の背の部分などには僅かに錆びが見て取れます。また、鞘に使われている人工レザーはひび割れており、その他も経年痕、使用痕があります。 JF ハンター カスタム serial #87 米国の ジョー・ファンダーバーグというロサンゼルスのナイフ・メーカーの作品です。彼についてはあまり情報がなく、当初はフィッシャーの作品だとして紹介しておりましたが、お客様から当方の間違いを教えていただき訂正いたします。 (今後もそういったご指摘を歓迎いたします) この時期、この作品の様子からして恐らく154CM鋼を使用していると思われます。とても美しい流線美は獣が身構えたような獰猛なラインとなっており、見とれてしまうデザインです。タップリと身を持たせたブレード、ワンオフさが見事な造形のヒルトからそのままハンドルへと流れています。また、ハンドルエンド(尻部)には実用性を支えるタップリとした膨らみをもたせてあり、あくまでも実用ナイフであることを譲りませんね。シースの拵えに関して、ステッチの糸がシースの厚みよりも内側を通るように工夫されており、コスレなどによる糸切れや劣化を減らす実用的な工夫も称えるべきでしょう。
ブレードの部分にはほんの少しスクラッチ、小傷が見て取れ、。またシースの内側やハトメの部分には緑青が吹いていた様子が見て取れます。シースにもキズや当たり痕があります。ホック(ボタン)の動作には問題がありません。全体的に深刻な錆びや傷跡はみあたりません。リネンマイカルタのハンドルに劣化は見られず、絶妙な形状はしっとりと手に馴染み、エンドの部分の形状の工夫が安心感をくれます。実重量より軽く感じるのはバランスの良さのなせる業でしょう。シースは年月を重ねて光沢を得て、良い色、良い感触になっていますね。
シルバーナイト300A IVORY, WILDWEST モデル 80年代、ガーバーのシルバーナイト・シリーズが最も輝いていた時代のストック品の一点もの。最も大きなサイズのモデル300Aのショウ・スペシャルモデルで、ハンドル材に本象牙ピースを両面共に使用しています。このナイフは一般には販売されず、本来は米国のジュエリーショップ向けに製作したもの。当時、薄い象牙材にひび割れが続出し、数量が上がらずとても困ったのを記憶しています。このアイテムは弊社のナイフのブランドとしていた、WILD WESTのブレードを取り付け、記念品として関係者に頒布したものです。(WILDWESTではなく、WILD WESTとしていたのは相当初期です・・) 鋼材はギンガミ一号、その他の仕様はシルバーナイトと全く同じです。レアと言えるのはこの薄いピースで象牙材にひび割れが無く、綺麗な状態なのは本当に稀です。ブレード、口金はサテン仕上げ、全体的にとても細かいスクラッチ(小傷)が有り、特に口金部分は画像でご確認下さい。当時使用していた側材(刃の収納部分とハンドル材の間に使用している板)は真鍮製で経年の酸化膜が出ており、少し磨きをかけています。
ブレードの開閉は当時のモデルとしては典型的なアクションですが、ご存じない方には若干渋めに感じると思います。ショウ・スペシャルのため箱やシースなどは付属しません。 ダム スタッグ フェザント by Dam ダムのナイフ、by Dam の刻印を見て懐かしいと感じる方にお持ちいただきたい、IC CUTさんの製造だと思われるナイフです。反り返らせた半月型のブレード、指架け箇所を設けていたり、ヒモ穴に長めのレザーをタップリ使っているところなどはハンティング志向がはっきりと見られますね。ハンドルには厚みのあるスタッグを贅沢に使用しており、ブレードには雉(フェザント)の図柄がゴールドで描かれています。これはアメリカ人の好みでしょう。ヒルトには高価なニッケルシルバーを使用してします。見かけよりしっかりと重みがあり、厚めのブレード厚ながら切っ先を細かく動かしやすくする意図が見られます。細部まで丁寧に作られており、メーカーの高い技術が伝わってくるモデルです。
ブレードには小傷が見られます。ヒルトには薄く緑青が吹いておりましたが除去して磨いております。シース内側には緑青の痕跡があり、ナイフの出し入れの時に付着することがあります。また、この種の刃の形状の宿命ですね、鞘には切っ先で鞘を切ってしまっている痕跡が見て取れます。 一本限定品 全長240、刃長120、刃厚4.0mm、重量250/鞘共328g 佐治 武士作、ナイフ これは珍しいですね、佐治氏が作ったナイフです。刃物の街、福井県武生のメーカー佐治武士氏は打ち刃物全般を手がける登録伝統工芸士です。佐治氏といえばナタや包丁が有名ですが、これは同じ技法で作られたナイフです。おそらく堺のオールニッポン・ナイフショウに出品されていたものでしょう。11センチのブレードには挟み込み鋼を使用しており、和鋼ならではの切れ味や食い込み、そして砥ぎのし易さは約束されていますね。また、挟み込み鋼の様子が刃先だけでなく背金からもよくわかるのも面白いですね。凝った作りの木製の鞘はヒルトの部分から搾られており、内部で刃が遊びません。何箇所かに小さな錆びがありましたので磨きをかけました。 |